先日”三好ジオ暮らし方カレッジ”で感動的な活動に出遭いました。
このWebサイトではまだ記載しておりませんが、三好市の一番東側、すなわち祖谷からは一番遠く離れた場所に美濃田の淵というものがあります。地元の人達からはもちろん、地元以外のアウトドア派の人達からも大変愛されている場所です。私が訪れたその日も千葉ナンバーの車が止まっていました。キャンプを楽しまれているようでした。
その美濃田の淵への谷川に黒川原谷と呼ばれるものがあります。砂防を優先した工事の影響でヤブ化して悲惨な状況にあった谷川です。同工事によって谷川の勢いがなくなると、水が滞り、生き物が住めなくなるそうです。そして生命力の強いヨシやカズラ類がはびこり、あっと言う間にヤブ化してしまうそうです。
これを自然の力で昔の姿に戻そうとFさんら地元の有志が立ち上がりました。Fさんは福留脩文氏から近自然河川工法を学んでおり、これを実践に移されたそうです。
具体的には、まず谷川の側面や川底に適度に石や岩を配置します。これによって瀬と淵を作りつつ、土の側壁の強度を上げます。そしてその瀬と淵と土の側壁が生態系を改善し、美しい流れを取り戻します。
岩の配置は土木工学的強度だけでなく景観についても考慮します。そしてここにも石と緑が調和した美しい景色が出来上がります。
遊歩道は雑木や雑草を刈り、落葉高木を植えます。これにより適度な陽当たりと日陰が実現でき、雑草や雑木の発生・成長が抑制できるそうです。そして負荷軽減された雑草刈りの余力を借りて対象範囲を上流に伸ばしていきます。これを繰り返すことで冒頭の写真のような立派な景観が再生できたそうです(冬の写真なので緑が少ないですが)。
かつて汚水のようだった谷川には奇麗な流れが再生され、瀬には新鮮な水と太陽の光が届きます。すると藻が生え、微生物が宿り、カワニナやカニも生息するようになりました。淵には魚も泳ぐようになり、今では蛍まで飛び交っているそうです。
草刈りや清掃は業者さんに頼むと便利ですが、それでは草刈り・清掃が活動の目的になってしまいます。一方、有志がボランティアでこれをやる場合、景観を取り戻すことが目的な訳で、草刈りや清掃の仕方にも工夫が生まれて来るそうです。単に費用の問題ではなく、本質的な問題として、自然を再生させるこのような活動はボランティアでなければ無理、とFさんはおっしゃいます。
活動開始が2016年。月1回のボランティア活動を8年間続け、現在の景観を取り戻したFさん達。この活動に共感し、ちょっとやってみたいと思われる方、Fさん達の方法を学びたいと思われる方など、もしいらっしゃったら問合せ欄からコンタクトしてください。Fさんに連絡の上、次回の活動日と集合場所をご連絡致します。
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