12月8日、初雪が降りました。ついこの間まであんなに暑かったのに。。。最近の気候はどうなっているのでしょう?
Anyway、祖谷にも本格的な冬が訪れました。祖谷の冬は厳しいです。
一番大変なのは水です。祖谷では自分の家の水道は自分で何とかする必要があります。
何とかするとはどういう意味か? 水源を確保し、そこから家まで水を引き、水が来なくなったら自分で解決するという意味です。 特に冬は大変です。凍らないように管理し、万が一凍ったらやはり自分で解決しないといけません。
もちろん業者さんもいます。しかし圧倒的に少ないです。依頼しても自分の番が来るまでに何日も、場合によっては何週間もかかります。自分で解決できない、もしくは解決してくれる強力な助っ人が近くにいない人には祖谷の生活はなかなか厳しいです。
水が凍ると言うことは大変寒いということで、吹雪いていることも少なくありません。つまり吹雪の中で凍った水の復旧作業が必要になります。ただでさえ寒い中で水を扱う作業をします。当然水にも濡れます。冷たいです。寒いです。辛いです。
なので祖谷の人は冬は大変緊張感をもって暮らします。水道を凍らせないためです。そして「凍るかも?」と思ったら細く水を出しっぱなしにします。夜寝る前は必ず全ての蛇口を軽く開けて寝ます。深夜が一番危険だからです。
ただ、あまりたくさん出すと貯水タンクが空っぽになってしまいます。出るか出ないかくらいの微妙な量に調整します。この匙加減も毎晩微妙に悩みます。

2年前のことです。この年は祖谷でも歴史的と思われるほどの寒波が襲いました。冬に慣れている祖谷の住民でも殆どの家が水道を凍らせました。水道工事を専門にするプロの家でさえ凍りました。
この時に水道を凍らせなかったのは私の知る限り2通りの家のみです。一つは少し電気代を奮発して水道ホースにヒーターを巻き付けている家庭です。もう一つは地主さんなどですぐ近くに水源を保有している家庭です。水源が近いと凍る確率が大きく下がります。
私の家は、ヒーターを巻いておらず、地主でもないので当然凍りました。でも不注意で凍らせた訳ではありません。十分注意を払っていたのに凍らせたのです。
当然のことですが水道の水は細く出していました。しかし朝になると水が出ません。「まずい!」と他の場所の蛇口を見て回りました。1か所だけ水が流れている蛇口がありました。「ラッキー!」と思い、念のため全開にしました。
しかし。。。 蛇口を開いても水の量が増えません。ドキドキしながら様子を見ていると、少しずつ水流が減り、1時間ほどで完全に止まってしまいました。。。 成仏です。チーン。頭の中が鳴りました。流れている水が凍ったのは後にも先にもこの時だけです。
その後、凍った水を復旧させるために1日費やしました。
倉庫から大鍋やでっかいやかんを探し出してきて(人が寄り合うことが多かった祖谷ではどの家庭でもこのようなものを持っている)、お隣さんに水をもらい(お隣さんはヒーターを巻いている数少ない家の一つだった)、湯を沸かして何度もホースに掛けました。水が沸くのを待つ間、ガスバーナーでホースをあぶったりもしました。3時間ほど格闘しましたがウンともスンとも言わず、これでは埒があきそうにありません。
「仕方がない。ホースを替えよう。」 貯水タンクから家の入口まで、その距離約30m。私はホースを差し替えることにしました。ドタバタしている私を見ていた隣のおじさんも手伝ってくれました(おじさんと言っても当時87歳)。
そうと決まったら祖谷では事は順調。元建設業の社長だった隣のおじさん(と言っても87歳。くどい?)の倉庫に行けば道具は何でも揃っています。代替用のホースは別のご近所さん宅の余りを頂きました。
そして半日ほど奮闘の末、無事ホースが差し替わり、一応問題は解決しました。
感の鋭い方はお気づきだと思いますが、外が凍っているということは、家の中の配管も凍っている可能性があると言うことで、トイレ、風呂、洗濯機への水は依然として止まっていました。
幸い、台所には水が来始めたので、その水をポリタンクで運んでトイレと洗濯は何とかしました。風呂はどうしようもなかったので3日に1回、20分ほど車を飛ばして日帰り温泉に通いました。そして約2週間後。暖かくなり突然全ての水が復活しました!
と言うことで大変な思いをしたのですが、2年前の冬と言えば私がまだUターンして間もない頃。実はまだ色々物珍しく、こんなトラブルもどこか楽しんでいる自分がいました。
更に言うと、その頃からこのWebサイトを開設して祖谷の生活をレポートすることを決めていたので、「ネタが出来た」とむしろ歓迎していた節もあります。
その証拠にこんな写真も残っています。凍ったホースの写真です。まだまだ仕事が残っていることを忘れ、興奮しながらこんな写真を激写していました。

そんな私に神様がご褒美もくれました。下の写真、トトロの映画に出て来る猫バスに似ていませんか?

ホースの差し替え工事をしていた時です。新たにジョイントが必要になったため、また別のご近所さんに分けてもらいに行きました。その際、つららが張っている場所を通り過ぎました。
ジョイントを受け取って帰る途中、またそのつららの前を通りました。そのとき閃きました。
「もしや?」 そう思った私は手に持っていたジョイントをばらし、土手の苔の上に挿してみました。
「やはり!」 猫バスが出来上がりました。
と言う感じで、祖谷の冬は厳しいですが、それほど苦にはなりません。あばたもえくぼ。祖谷愛がなせる技でしょうか?
※祖谷の雪の情報は下記ページでもお届けしています。
季節の情報 – 白毛馬風太郎、故郷に帰る
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