栗寄の大カーブ(ジオ編):ここは天然のジオ展示場!

祖谷の観光サイト/栗寄の大カーブ ジオ

ブログ「栗寄の大カーブ(紅葉編)」でこの辺りは阿波の青石でできていることを書きました。そして河原に阿波の青石が混じっていることが車の中からでも分かることを書きました。
栗寄くりよせの場所についてはこちらを参照ください。

実はこのカーブはそれだけではありません。

祖谷の景色を形作っているのは傾斜地と崖。そしてその傾斜地は地すべりによって、また崖は崩落によって作られています。

そのうち、地すべりの原因となっているのはもろいい岩盤層。元々は泥だったものが岩として固まりました。本Webサイトで言うと、祖谷のかずら橋の辺り、落合集落、平谷たいらだに堰堤えんてい群、武家屋敷喜多家の辺り、栗枝渡八幡神社の辺り、祖谷トンネルの辺り、大西のザレなどがこの地質帯に属します。

一方、崩落を引き起こすのは固い岩盤層です。元々は砂や火山灰などだったものが岩として固まりました。本Webサイトで言うと、大歩危・小歩危、祖谷渓/ひの字渓谷や小便小僧、龍宮崖、そしてこの栗寄の大カーブなどが該当します。
※ここに記載の観光サイトはこちらこちら、またはこちらを参照ください。

全て観光サイトですが、脆い岩盤層では人と自然が融合して景観を作り、固い岩盤層では自然が人を寄せ付けない形で景観を保っていると言う違いがあると思っています。

では、その脆い岩盤とか、固い岩盤とかは、どんなものなのでしょう? 見ようと思ってもなかなか見られません。

しかし、この栗寄の大カーブではそれが見られるのです! このカーブの山手側のむき出した岩をご覧ください。

上の2つの写真は同じような縮尺で撮ったものです。が、見た目が全く違います。

左側の写真(スマホの場合が一つ目の写真)が元々が泥だったもの、右側の写真(スマホの場合は2つ目の写真)が元々砂だったものです(だと思います)。

左側の岩盤は表面がザラザラしていて簡単にバラバラと割れて落ちそう(崩れそう)なことがわかります。

一方右側の写真は表面がツルツルしていて崩れる時は崩落しそうなことがわかります。実際、縦に割れ目も入っていて、この部分は近いうちに割れて落ちそうです。

と言うことで、この栗寄の大カーブでは、阿波の青石だけでなく、集落の形成母体となっている脆い岩盤(泥質片岩でいしつへんがんと言う)や、景勝地の形成母体となっている固い岩盤(もともと砂の場合は砂質片岩さしつへんがんと言う)が観察できる大変貴重な場所なのです。

しかもここは東祖谷と西祖谷の丁度境目。「皆さんが今からご覧になる景色。こんな岩盤が作ってるんですよ!」と、まるで事前紹介してくれているようです。

ということで、ここは天然のジオ、すなわち大地の成り立ちの展示場。ご覧になる際は広い所に車を停め、他の車に気をつけてお楽しみください。

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