大歩危峡まんなかの駐車場から下を流れる吉野川を見ていると、水が下から湧き上がっているところがあります。例えば対岸の岩のすぐ手前辺りです。
これはボイルと呼ばれ、実際に水が下から湧き上がっているそうです。
湧き水?と思いきや、そうではありません。
どこかに渦があって、川底に引き込まれた水がボイルとなって水面に現れているのだそうです。
すなわち、ボイルがあれば渦がある、ということで、ラフティングのリバーガイドさん達は、渦だけでなくボイルにも注意を払うそうです。

日本には至る所にカッパ伝説が残っていますが、その正体は渦だと言われています。渦に巻き込まれて藻搔いた経験が、あたかも妖怪によって凄い力で川底に引き込まれたように思えたからだそうです。
そしてそれが妖怪伝説に変わります。「この川には河童が棲んでいるから近寄ってはダメ!」。
「あそこは渦があるから近寄ってはダメ」よりもよっぽどインパクトがあります。
このように子供を危険から守るために妖怪伝説は誕生しています。つまり、危険が多い場所ほど妖怪伝説がたくさん残るわけです。
そして大歩危藤川谷! 硬い岩盤で出来た急な崖、逆に今にも崩れそうな脆い地形、流れの急な瀬、突然深くなる淵。。。 ジオ(大地の成り立ち)が創り出した危険のメッカです!
したがって、妖怪伝説もたくさんあります。 ヤマジチ、マド(魔道)、どろめき淵のエンコ、クモトリ淵の一つ目入道。。。 妖怪と遊んだことがあるというお婆ちゃんまでいます(今もご健在)。
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