栗枝渡八幡神社はうっそうとした樹木の中にあります。
ケヤキ、ウラジロガシ、エゾエノキ、シロダモ、ヤブツバキ、スギ、・・・。
自然に自生したと思われる様々な種類の巨木から、古来よりこの地が神聖な場所として保護されてきたことがよく分かります。
そんな社叢を眺めているとふと気がつくことがあります。なんだと思いますか?
鳥居がないのです。
神社なのに鳥居がない?
なぜか?
それはこの場所が安徳帝をお祀りしている場所だからだと伝えられています。
祖谷に限らない話だと思いますが、日本人には身内に不幸があると神社への参拝を控える風習があります。その風習は祖谷の古い人たちの間では徹底されています。
亡くなった安徳帝はお祀りしたい。しかし帝は平氏と共に落ち延びて来られた身。大々的にそれとわかるお墓を作る訳にはいかない。
と言うことで、八幡神社の体をしてカモフラージュした神社を作ることにしたのですが、前述の風習との絡みがあって、どうしても鳥居は建てられなかった。
そういう風に聞いています(例えば、森本徳著、「祖谷の語りべ」、祖谷観光開発有限会社発行)。
祖谷に観光に来られた際は、是非現地を訪れ、800年に渡って保護されてきた厳かな社叢と、鳥居を巡る葛藤をご自分の目でご確認いただければと思います。
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