ブログ「祖谷に入る前に観ておいて欲しいもの」で大歩危峡レストランまんなかからの景色の違いのお話をしました。実はもう一つ見て欲しいものがあります。民家です。
大歩危峡の辺りは全く民家がありません(商業施設はあります)。なぜなら岩盤が固いからです。昔の人は固い岩盤の上には民家を作りません。畑が作れないからです。
それが祖谷に入るべく国道32号線を南に走っていると突然民家が出始めます。面白いほど極端です。「祖谷に入る前に観ておいて欲しいもの」で書いた植物の有無と全く同じです。
と言うことで、祖谷に観光に来られた際は、このような観点で景色を眺めながら走ると面白いかも、と思います。
さて、この話、ここからが本題です。
大歩危から祖谷に入る場合、まずはひの字渓谷や小便小僧に行かれる方が多いと思います。ここで示した地図において⑭から①や②に向かうルートです。
このルートは、前述の国道32号線を左に折れて橋を渡り、県道45号線を進みます。ここら辺りにもちらほらと民家があります。柔らかい岩盤層だからです。というか、そもそもそういう地質だからここに道ができているのかも知れません。
そして頂上はトンネルになっています。祖谷トンネルと呼ばれます。そもそもここにトンネルがあるのも地質が柔らかいからだと思われます。
そして県道45号線は祖谷トンネルをくぐると祖谷川水系に向かって下っていきます。そして祖谷川を渡って左側の道を行くと一宇という集落に当たります。西祖谷の中心地だった集落です。
同集落に突き当たる三差路を左に進みます。さすが中心地。道の両側に民家がぎっしりと並んでします。

更に進みます。すると。。。あ~ら、不思議。あんなにあった民家が突然ゼロになります。突然です。そこのところをよく見ながらドライブして頂きたく思います。その後、冒頭の写真のような景観が続きます。祖谷渓です。
もう理由はお分かりですね。泥でできた脆い岩盤層から、砂でできた固い岩盤層に移ったからです。大歩危の逆です。
ここでもう一度地図を見てください。⑭と①、②は山を挟んで丁度反対側に位置します。そしてこの山は国見山と呼ばれ、山全体が固い岩盤でできています。
この固い岩盤で作られた国見山が何百年にも渡って人の介入を拒み続け、その結果として美しい景観を今に残してくれています。
つまり私たちは、国見山の西側を見てその絶景(大歩危・小歩危)に感動し、遠路はるばる車を飛ばしてその裏側に回り、今度は国見山の東側を見てその自然美とスリル(祖谷渓)を楽しんでいることになります。
同じ岩盤起因なのに、異なる2つの景観で私達の目を楽しませてくれる国見山。
「でも実は同じ理由なんですよ~」と民家の建ち方や草の生え方でさり気なく伝えようとしてくる国見山。
標高1,409mと、目立って高い訳でもないのに、みんなから愛されてやまない国見山。
その理由は、このような粋な演出をしてくれる山だからでしょうか。
祖谷に観光に来られた際は、是非このようなジオと人の暮らしの関係性と言う観点からも、祖谷渓や国見山をご覧頂けると更に楽しくなるかも知れません。
コメント