以前、”氏神さんへの道をジオしてみました“で祖谷を形作る2種類の岩石の話をしました。固い岩石と脆い岩石の話です。
そしてこの2種類の岩石が祖谷の景観を形作っています。今日はその話をします。
この2種類の岩石の違いは観光サイトの違いから一目瞭然です。まず固い岩盤層の観光地です。
次は脆い岩盤層の観光地です。
違い、分かりますか?
人が住んでいる所と住んでいない所、自然が作った物と人が関わった物、渓谷と集落。。。 そんな感じでしょうか。
脆い岩盤層にはこういう場所もあります。
すべて地すべり地帯です。 過去に大きな地すべりも発生しています。
地すべりが発生すると土砂が川に流れ込み、水の流れを堰き止めます。そしてそこに大きなダムができます。
こうしてできた天然のダムは水を限界まで溜めこみ、あるとき突然決壊します。 決壊したダムは土石流となって下流に大きな被害を及ぼします。
これを防ぐために治山堰堤が作られている訳ですが、この堰堤群が周りの自然と調和して大変きれいな景観を作り出しています。
地すべり地帯なので杉が植えられていないことも美観の要因です。 皮肉なものですね。
※写真では見えませんが、大西のザレにも下流側に治山堰堤があります

皮肉と言えば、傾斜地集落も同様です。
祖谷のかずら橋がある善徳集落(上記写真)も、人気の観光地の落合集落も、鉾杉や武家屋敷がある大枝集落も、すべて大昔に地すべりがあったところです。
地すべりの際、土砂が必ず川まで到達する訳ではありません。山の中腹で止まる場合も多々あります。
地すべりが止まるとそこに土砂が溜まり比較的傾斜のなだらかな土地が誕生します。石を取り除くとあとは土砂だけ。畑が作れます。
傾斜が緩くて、畑が作れる。 傾斜地集落の誕生です。
という感じで祖谷の殆どの集落がこのような地すべり跡に形成されています。脆い岩盤層があったからこそです。
以上、祖谷には固い岩石と脆い岩石の2種類があり、固い岩石は渓谷美を、脆い岩石は人とコラボした造形美を生み出しています。
祖谷にお越しの際は、この2種類の岩石にも意識を払ってみてください。美しい風景がより意味深いものになること間違いなしと思います。
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