”うだつ”ってご存知ですか? ”うだつが上がる”の”うだつ”です。
”吉野川は南北に流れる?”で少し書きましたが、徳島県はかつて藍の一大産地でした。それと同時に葉タバコの大きな産地でもありました。
葉タバコ、ご存知ですか? ご存知ない方は例えばこちらをご参照ください。
落語や時代劇を観ていると、長屋や商家の旦那さんが火鉢にキセルをトンと打って「するってーとぉ~」みたいに話始めるシーンをよく見かけます。このキセルの先に詰めるのが刻みタバコです。そしてその原料が葉タバコなんです。
いまNHKの大河ドラマで吉原の話をやっていますが、そこに出てくる花魁もこんな感じでよくキセルを持っています。
このキセル。粋の象徴だったようで、昔は結構な必需品だったようです。時代劇や落語など江戸時代を描いたものには必ずと言っていいほどキセルが出てきます。
そんな感じでキセルが流行り、たくさんの刻みタバコが必要になり、祖谷を含む徳島県西部で葉タバコが盛んに生産されました。
そしてその中心として栄えたのが阿波池田です。葉タバコ収集・出荷の拠点でした。1896年(明治29年)専売法が交付され、葉タバコは全て国が買い取ることになりました。そしてその翌年には阿波池田に葉煙草専売所が誕生します。国から見ても池田は重要な拠点だったようです。
そして、その繁栄ぶりを今に残す場所があります。阿波池田うだつの家たばこ資料館です。是非訪れて欲しく思います。

加えて、この資料館が存在する街並みも是非お楽しみください。うだつの町として有名です。
うだつとは壁の両側につけた防火壁のこと。上の写真で2階部分の両側にある白い壁です。火災の際、隣への延焼を防ぐ目的とも、隣からの延焼を防止する目的とも言われています。
ただしそれは当初のことで、その後、装飾的な意味合いが強まります。立派なうだつを上げること、それが一大ステータスになります。そして隣同士でうだつの立派さも競うようにもなります。
そんな背景があってでしょうか? 暮らしぶりがよくなることを称して”うだつが上がる”と例え始めたようです。
以上、今後葉タバコの話をするに当たり、前振りとしてどうしてもこの話が必要だったため、唐突ですがちょっと書いてみました。
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