私は母は現在93歳ですが、91歳の頃までは毎日のようにウォーキングしていました。
※今も時々はしている
そんな夏のある日のこと。 ウォーキングから帰って来た母が”何か忘れて来た気がする”と言います。 ”何か大事なものを草むらに置いて来た”と言うのです。
あんまり五月蠅いのでウォーキングルートを車で辿ってみることにしました。するとすぐにわかりました。
帽子を忘れて帰ったのです。無造作に道端に置かれていました。

なぜこんなことが起こるのか? 祖谷が杉の木だらけだからです。
夏の暑い日、母親は帽子をかぶってウォーキングに出ます。 しかし家を出るとすぐに杉林。 道路が延々杉の木で覆われています。 日陰ばかりです。
”なんじゃ、帽子はいらん”。 そう思った母は、帰りに拾うつもりで道端に置きます。 そして忘れて帰って来たという次第です。

ということで、杉の木だらけの祖谷は夏でも帽子は要りません。
景観は壊すは、枯れ枝で道路は汚すは、獣害問題の原因を作るは、悪いことだらけの杉の木ですが、暑い夏には役立ちます。 日陰を作ってくれます。
祖谷は標高が高いから涼しい。 そのように思われがちですが、それだけではありません。 日陰が多く、そこから吹く風が体感温度を大きく下げてくれます。
例えば、クネクネした祖谷の道。凹の部分は日陰が多く、谷川もあります。 夏でもひんやりとした空気が漂い、そんな場所から吹く風はまさに涼風。 ”生きてて良かった~”とさえ思います。
杉林も同じです。 谷川からの風が爽快感ならこちらは癒し。 ちょっと苔むした杉林特有の香りもなかなかです。 肺から体全体に浸透するその空気は心身を潤し、元気がみなぎる気持ちにしてくれます。
祖谷にお越しの際は、このような杉林に入ると車の窓を開けてみるのもよいかも。 涼しい風と香りがあなたの旅を更に思い出深いものにしてくれるかも知れません。
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