以前、沖縄のK君の話を書きましたが、今日はもう一人のK君の話をします。
私が観光案内所で案内の当番をしていた時の話です。若い男性が、いわゆるママチャリのような自転車を漕いで近づいてきました。
観光客かな?とも思いましたが、観光客がママチャリで来るはずもないし。。。
地元の人かな?とも思いましたが、こんな若者見たこともないし。。。
するとその若者、案内所の前でママチャリを停め、こちらに向かって歩き始めました。そして「こんにちは~」と言ってドアを開け、黄金の一言を解き放ちます。
「ここに来るまでに黒い岩がたくさんあったんですけど、あれって何ですか?」
はぁ~? いくら何でも唐突! しかも質問がエグイ! 変な人が来た! 普通ならそう身構えるでしょう。
でも、彼は持っています。 その日の当番が偶々そんな感じの人が大好きな私でした。 しかも私は市認定のジオガイドでもあります。
「よく気が付かれましたね~!!!」。 もはや挨拶は不要。 二人はまるで旧知の仲。 いきなり深い話に入ります。
実はその黒い岩、泥質片岩と呼ばれ、泥だったものが固まったものなのです。硬いものと脆いものがあり、脆い泥質片岩は地すべりの原因になります。祖谷の集落の多くは地すべり跡にできているので、その地質学的性質が祖谷の風土・風習・文化に大きな影響を与えてるんですよ。

そのように回答しました。すると堰を切ったように次から次へと質問の嵐。あっと言う間に1時間が過ぎました。
「そんなに興味があるなら案内しますよ」と言う事になり、確かその2日後の午前だったと思います。祖谷を少し案内しました。
聞けば彼はおてつたびで祖谷に滞在中とのこと。お手伝いをしながら旅をするもので、ホテルかずら橋が受け入れをやっているそうです。自由時間もあるらしく、ママチャリを借りて祖谷を見て回っていたそうです。
彼は静岡県の人でしたが、おてつたびが終わった後も何度か祖谷を訪問してくれました。その際、私のところにも顔を出してくれるようになりました。
そして何度目かに会った時のこと。「移住しちゃいました」。 彼がいきなり言いました。 どうやら彼は第一声で人を驚かせる性癖があるようです。
でも大変賢明。移住したのは三豊市と言うところ。彼のエキスパティーが活かせる仕事があって、祖谷にも足を運べる場所です。
では彼はなぜ祖谷を訪れるのか? 「ここに来ると胸がゾワゾワする」からだそうです。 そしてその「ゾワゾワの理由が分かるまで通い続けます」と言っております。
時々こういう人がいます。初めての祖谷で恋に落ち、気になって仕方がなくなる。国際交流イベントのブログで書いたアレックス・カー氏もその一人です。
その理由は何か? 根本は”ジオ(大地の成り立ち)”にあり、その上に形成されている祖谷独特の景観や暮らし、人となりが特定の人にヒットするのだと思っています。
その詳細はまた別途書くとし、沖縄のK君と言い、今週のK君と言い、感性の赴くまま祖谷を訪問してくれるのは大歓迎です。二人のK君に何か素晴らしい出会いや発見が訪れることを祈っています。
それと。もちろん祖谷でなくてもよいのですが、移住を検討される際は”おてつたび”を活用するのは大変よい方法だと思います。
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