移住者の戸惑いとジレンマ

祖谷の生活/祭り 移住の奨め

”次回以降「移住の奨め」という新たなカテゴリーを設け、移住に関する情報も少しずつ書き溜めて行くことにしました。” と先週書いたので、まずは移住に関する記事を一つ入れておきます。

祖谷に戻ってきて2年。大歩危や祖谷に移住して来られた10名近い方々に移住後の生活について話を聞かせて頂きました。

その感想を一言で言うと「移住先に溶け込もうと本当に努力されているんだな」と言うことです。努力と言うより「苦労」と書いた方が正しいかも知れません。そんなに色々気を使って暮らさざるを得ない実情に本当に申し訳ない感じがします。

一方で、地元の人はどうかというと、移住者は大歓迎! 「ここにずっと住んでもらえるようにできるだけの支援をしたい!」と本当に心の底から思っています。

すなわち、移住して来られた方も、移住を受け入れる側も、お互いウエルカム、相思相愛関係にあるわけです。

が、うまくいかない場合が結構あります。

なぜだろう??? 疑問に思った私は、その点を掘り下げながら話を聞いていました。

祖谷の風景/地神さん

例えば、祭り。移住して来られた皆さんは色々な役回りを自ら手を挙げて引き受け、積極的に溶け込もうとしています。しかし、祖谷生まれの祖谷育ち、祖谷しか知らない地元の人は「彼らはなかなか溶け込んでくれない」と残念がります。

なぜか? 「祖谷時間と診療所」でも書きましたが、ここの時間は大変ゆっくりと流れます。特に現在は殆どが年金暮らしの高齢者。有り余るほど時間があります。

対して移住者はまだまだ現役。生きていくためにやらねばならないことがたくさんあります。

5時間も6時間も当たり前のように続く祭りの呑み会。移住者は戸惑い、悩んだ末に「すみませんが明日も仕事なのでここで失礼します」と途中退場します。すると地元の人の中には「付き合いが悪い。溶け込もうとしない」。そういう風に受け取る人が出てきます。

例えば、集落の集会。雑談ばかりでなかなか本題に入りません。やっと本題に入っても、あっちに行ったりこっちに行ったり。その傍らではずっと雑談にふける人もいます。移住者はここでも戸惑います。

当然会議が長引きます。少しでも早く終わらせたい移住者は雑談の輪には入りません。本題から外れた流れをさり気なく戻そうともします。すると地元の人の中には少し距離感を感じる人が出たりします。

そういう小さなすれ違いや違和感の積み重ねが少しずつ大きくなって行って前述の見解の相違につながって行っているように思われます。

「それは地元の人が悪い。移住者がかわいそうだ!」 殆どの人はそう思うに違いありません。

もっとサラっと行こう。 もっと効率を上げよう。 それがイマドキ。 そう思うかも知れません。

しかしそれでは都会と同じ。 祖谷の人がそんな生活を送っていたら、祖谷は都会の皆さんが癒されるような場所にきっとなっていません。

濃厚な人間関係であったり、非効率的な日常であったり、旧態然とした生活スタイルであったり、そんなものが都会とは全く異なる祖谷を育んでいます。

しかしまだ現役の移住者。同じような生活はできません。ではどうするか?話が堂々巡りします。

私はこれを「移住者のジレンマ」と呼んでいます。なかなかの難問です。

結局は時間を掛けて信頼関係(お互いに本音で言い合っても壊れない関係)を構築していくしかないと思います。が、もし近くに、「町の価値観がわかり、既に田舎にも馴染んでいる人」がいれば、その人の力を借りるのが一番かと思います。

そして、祖谷では、私がそのような存在になって移住者のサポートが出来るようになれればいいなぁと思っています。

【注意】ここに書いているのは代表的な一例です。全員がこんな感じという訳ではありません。もちろん、上手に溶け込んでおられる方もいらっしゃいます。

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