昔の祖谷は茅葺屋根の家ばかりでした(当たりまえですが)。そしてその屋根の形は決まっていました。寄棟造りです。
祖谷を旅していると下記写真のような屋根の形をよく見ます。これが寄棟造りです。斜めの面が4つ組み合わさっただけの単純な形をしています。

実はこの屋根、茅葺きの屋根にトタンをかぶせただけのものです。トタンを剥ぐと中は今も茅葺の屋根が残っているということです。だからこのような形をしています。
なぜこのような形、すなわち寄棟造りばかりなのか? 茅葺きの場合、この形が一番茅を葺きやすいからだと思います。束ねた茅をまずはこちら側の面、次に裏側の面、そして右側面、最後に左側面、という具合に並べるだけでよいのです。
これに対して平家屋敷は入母屋造りという複雑な形をしています。冒頭の写真の通りです。格式が高い造りだそうです(入母屋造りの詳細はネットで調べてくださいね)。
このような造りをしている家屋は東祖谷で唯一平家屋敷阿佐家だけです。東祖谷には国の重要文化財になっている木村家住宅とか、武家屋敷喜多家住宅とか、国の重要伝統的建造物保存地区に指定されている落合集落のシンボル長岡家住宅などがありますが、すべて寄棟造りです。
対して平家屋敷阿佐家だけが格式高い入母屋造りです。しかも、それだけでは飽き足らず、向拝を設け、玄関は式台になっています(専門用語ばかりすみません。向拝も式台玄関も私が説明するよりネットで検索して頂いた方が分かりやすいと思います。)。
如何に阿佐家が特別な存在だったかがよくわかります。
祖谷に観光で来られ、平家屋敷をご覧になる際は、まずはそのような建物の形状から楽しんで頂ければと思います。
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